肥満のお母さんから生まれた赤ちゃんは生まれながらにして年をとっているという研究結果が報告されました。
もちろん、容姿が老けているということではありません。生命の設計図たるDNAが老けているというものです。
現在の科学的見解は、ヒトの寿命を規定するものとして「テロメア」が知られております。この「テロメア」がお母さんの肥満度と関係するらしいのです。
「テロメア」とヒトの寿命
ヒトの寿命と関わっていると知られている「テロメア」。
テロメアは染色体の最後の部分にあるDNAの蓋のような部分で、TTAGGGの塩基配列の繰り返しとなっており大切な遺伝子情報を保護する役割があると知られています。
テロメアの長さは、細胞が分裂するたびに短くなり、5,000塩基程度に短くなるとその細胞は分裂が出来なくなると考えられています。
そのため、テロメアの長さは細胞の寿命と関係し、ヒトの老化に関わってくると考えられています。
10年老けた赤ちゃん
テロメアの長さは生まれつき決まっており、個人差があるようです。ベルギーとイギリスの研究チームはお母さんの体重に着目しました。
743人の女性を調査した結果、お母さんのBMIと赤ちゃんのテロメアの長さに関連があることが分かりました。
適正体重のお母さんから生まれた赤ちゃんより、やや太っているお母さんから生まれた赤ちゃんのテロメアの長さは2.5%短く、肥満であるお母さんから生まれた赤ちゃんに至ってはなんと5.5%も短いことが分かりました。
テロメアの長さの変化を実際の年齢に換算してみると、2.5%から5.5%短くなるためには5-10年かかるようです。つまり、生まれた瞬間から、DNA的に老けてしまっているということになります。
これにより寿命が短くなるかどうかは、まだ明らかになっていませんが、今後その赤ちゃんを対象に研究を進めると研究者らは説明しています。
まとめ
妊娠中の過度のダイエットは、早産や低体重出生児のリスクだけでなく、子供のDNAにも影響を与えるという報告があります。(関連記事:https://ge-no.com/articles/542
)
肥満は様々な生活習慣病のリスクとされますが、生まれてくる子供にも影響を及ぼすことが示唆されます。
自分のためだけではなく、生まれてくる赤ちゃんのためにも体重管理は極めて重要ということですね。
参考文献
https://bmcmedicine.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12916-016-0689-0
https://www.newscientist.com/article/2109327-overweight-mothers-give-birth-to-biologically-older-babies/