Cover cover bookshelf
写真は記事のイメージで本文とは直接関係ありません。
CLIP

遺伝子ブックレビュー彼女を愛した遺伝子・松尾佑一

2015/09/09

松尾佑一氏の最新作「彼女を愛した遺伝子」をご紹介します。松尾氏は、現役の生物学・遺伝子工学の研究者でもあり、非モテ理系男子の思考や生態をリアルに描くことで定評のある作家です。

どんな作品……

この作品は、遺伝子をテーマにしたSFラブコメディで、中学生時代の苦い思い出のため、恋愛をあきらめて研究に打ち込んでいる二人の遺伝子研究者、准教授の柴山大輔とその部下でポストドクターの松永洋雄が主人公です。

冒頭の二人の主人公のコンプレックスを描く十数ページは人の辛い気持ちを描写しているので、少し読みづらく感じる方もいるかもしれません。しかし、序中盤からミステリーの要素が加わり、後半は研究者である著者の持ち味が生かされ、ロジカルな伏線が次々と回収される痛快な展開で、読者を引き込んで飽きさせずに最後まで気持ちよく読ませてくれます。

どんな物語……

ここから先は、ネタバレの部分もあるので純粋に物語を楽しみたい方は、お読みにならない方が良いかもしれません。

大阪理工科大学の遺伝子機能研究所の准教授、柴山大輔は、学会に参加するためカリフォルニア総合大学を訪れますが、恩師の旧友モーリス・ベントン教授の依頼で、教授の研究室で遺伝学のレクチャーをすることになりました。研究室は「精神世界研究室」といい、ベントン教授の研究は「この世とあの世を結ぶあやとり理論」という、およそ遺伝学とは縁のなさそうなものです。

そして、柴山はハルカ・オノダという日本人学生にレクチャーをしているうちに、どうやら恋におちてしまいます。

柴山が帰国してしばらくたった頃、ベントン教授が自らの研究に遺伝学の要素を取り入れた「運命遺伝子論」についての手紙が柴山たちの遺伝子機能研究所に届きます。この手紙を読んだ松永は、人の感情や恋愛さえも、全て遺伝子によって作られた脳の作用であり、遺伝子が人々の運命を決定づけているというアイデアに魅了され、研究所から姿を消して独自の研究を始めます。

寝る間も惜しんで実験を進めてきた松永は、わずか二ヶ月という短期間で、ハツカネズミをつかった実験から自らの仮説が正しいことを立証します。動物での実験に成功した松永は、次にヒトでの実験をもくろみます。そして、情報収集のために参加した国際会議でたまたま知り合った、小野田陽香という学生を実験台として選ぶのです。

果たして、遺伝子は本当に人々の運命を決定しているのか。また、柴山の恋の行方は?そして松永は一生恋愛できないのでしょうか……

遺伝学への知的好奇心も満たしてくれる小説

遺伝子の研究者がどのように研究を行っているかリアリティのある描画や、現在の遺伝学についての分かりやすい説明などもふんだんに織り込まれていて、遺伝学への知的好奇心も満たしてくれます。Geno をお読みになっている皆さんには、オススメの一冊です。

参考文献
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4103392916/ref=as_li_qf_sp_asin_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4103392916&linkCode=as2&tag=yujia-22

この記事に関連するタグ

恋愛 運命 遺伝子 遺伝子ブックレビュー

読めば読むほどポイントが貯まる!

Bonus daily

10pt

Bonus login

pt /日目
OK